みやびちゃんぷりちー

 『遥かに仰ぎ、麗しの』フルコンプ。何かプレイ日数が尋常ではない長さになりました。得点は、主観、客観共に9.5。各シナリオとも紆余曲折こそありますが、最後には上手く纏めてくれて読後感が良かったです。まぁ、これはPULLTOPの特徴でもありますが・・・あと加点材料は多いのですが、減点材料が無いのがこの得点に繋がっています。PULLTOPというと総じて良作なんですけど、何か致命的なポカをやるのですが、今回は無かったですね。両ライターの尽力も当然のようにありますが、いままでの経験やプロデューサー、ディレクター、ライターを別けたのが良い結果になっています。これは、藤原々々−朝妻ラインの前作に当たる『ゆのはな』でも該当します。しかし、より分業の特性を上手く利用した結果だと思います。
 作品は、明るく楽しいがモットーのメーカーらしからぬシビアな内容ですが、結局はいつもの優しい内容に落ち着いてます。迷ったらOPデモ登場したヒロインから攻略する法則に則りやっていました。みやびを筆頭とする本校組をし、そして分校組をして邑那で締める順番が最適だったようです。心配した各ライターの齟齬に関しては、それほど悪い結果にならなかったです。本校組の健速氏は、逆境は本当に容赦がないですが、総じて非常に優しい世界観。対して分校組の丸谷秀人氏は、基本的には明るくポップに落とす所は落とすと緩急の良さが持ち味ですね。
 確かに両者に違和感はないとは言えませんが、そこまで感じなかったのは、この物語の根底にある世界は残酷だが優しさがある。そんな所があるせいだろうかと思います。ディレクターを始めとするスタッフの尽力か両ライターの意見の擦り合わせが良かったのでしょうね。健速氏は、みやびシナリオを起点として他のシナリオに派生する構成で、主人公は能動的に行動して問題を積極的に解決する。一方丸谷氏は、1つの大きな物語が存在し各シナリオはそれをそれぞれの立場や環境で異なる角度から見るシナリオの構成。主人公は、抱擁力でヒロインを助けるような感じですね。前作に当たる『ゆのはな』では、気負った点や間延びした観がありましたが、今回はなかったですね。両ライターとも自分の持ち味を出した結果として良い方向に向かったと思われます。
 好きなシナリオは、メインのみやびシナリオ、締めに相応しい邑那シナリオかな。まぁ、どれのシナリオも好きですが・・・好きなキャラは、みやび、美綺、奏、リーダ、マンボなど。
 あと唯一の欠点は、登場人物が多いせいか、かなり重要な人物の立ち絵がなかったこと。ここのメーカーは立ち絵に力を入れているのですが、労力が続かなかったのでしょうか?そこが残念な点ですね。
 なにはともわれ、応援していたメーカーが軒並解散した中で唯一残っているメーカーなので、こういう評価が高い作品を出してくれると嬉しいものです。ここは、雰囲気の良さが良いので佳作〜良作程度でも満足するのですが、それ以上の結果を出してくれるとやはり嬉しいですね。