強さを思う人は絶対に、弱い人ですよ

説教ライター炸裂　

　
　ここまで説教されれば爽快ですｗ

予想通り巷の評価は別れていますね。
　まず外面と違いかなりハードな内容で鬱要素が高いこと。萌え要素が皆無なこと。説教臭いこと。ほぼスタッフが一緒の前作の『StarTRain』をプレイ済みなら、そうそう甘くないと予想の範囲内だったことでしょう。ただ一見さんには予想を大きく外れる内容だったことでしょう。私は落としてませんが体験版をすればある程度解ったこと。またOHPやパッケージを注意深く見れば、歪さに気付くことでしょう。すーぱーぽじてぃぶＡＤＶというのも嘘とは言い難いですが、誤解を与えやすい宣伝の仕方だったです。もう少しOHP等で内容を公開しても良かったかもしれません。
　まず作品の内容はテーマ性ありきで展開します。前作には軸になる恋愛要素がありましたが、今回は恋愛要素は小さいのが主な原因でしょう。前作よりも登場人物を借りて頻繁に語っているのでそれをわずらわしく感じ説教臭く感じるか、私のようにテーマに付いて深く考えるかはユーザーの受け取り方次第です。本来なら物語にさり気なく入れのですが、テーマを深く追求して、あちらこちらに入れるのはライターとして賢くないやり方だと思います。でもこれがこのライターのスタイルなのでしょう。自分はライターが主義主張を入れるのをこういう考えもあるんだと思いますが、価値観の押し付けと思い当然嫌いな人間も多い事も事実です。ただのエンターテーメントも良いですが、中にはこういう尖った作品も良いのではと思います。
　基本的に現実的にありそうな話を現実にいそうなキャラで追っていきます。ユーザーに媚びるような萌えは皆無と言っても過言ではないでしょう。話も決してユーザーに都合が良いものでなく、見たくもないものも見せ付けます。その中には鬱な話やヒロインの暗い部分もあります。エロゲーにそんなものを見たくないのなら回避すべきでしょう。純粋にストーリーを楽しみたいとりわけ現実的な地味な話が好む奇特な人間には推奨します。

　テーマは前作に引き続き「幸せ」。前作と異なり「幸せ」とは何かと永遠サミットをしていることでなく、「幸せ」の処し方などもう少し広い話になっています。前作は主人公自身がほとんど鬱状態に対して、今作ではそうではないので爽快さはあると思います。OPデモあたりまではテンポが悪くなっています。前作のカップルは偉大でした。その代わりが春香や千夏など他のキャラクターに分散されています。推奨攻略順は、春香＆千夏、秋代、彩、冬子。
　春香＆千夏は、持ち味の構成力が発揮しました。千夏シナリオに不思議要素を入れて、話に現実的な話で終始していたのに統一性がなくなったのが残念ですね。
　秋代＆彩は、過去に起きた友達、同級生の自殺事件が影を落とします。それに対し秋代は意地で彩ははったりと強がりで対処しようとします。２人の主張を対峙させる場面がほとんどなかったのが残念ですね。異なる処し方ですが、背中合わせで意外に近いように感じられました。
　冬子シナリオにはルート制限が掛かっています。彩シナリオの後日談＆補完シナリオ、冬子の問題、主人公の問題、作品全体のまとめと混在して少し混乱するかもしれません。
　エピローグ部分は、前作と同じく綺麗な終わり方ですね。自分は納得してますね。

　特筆すべきは、話の構成と見せ方の上手さ。また、共通シナリオの話が後々複線になっていたり、雑談に名前が出た事物を登場させたり素材を無駄にしてませんね。一番の無駄は山田太郎ですが、素で存在を忘れていましたｗ

　恐ろしく人を選ぶ作品ですが、地味でも現実的で骨太な物語を純粋に楽しみたい方。物事を深く考えたい方などが好まれる作品だと思います。後ライターの主義主張が前面に出ていますので、それを受け入れられるか？私はどれにも該当しますので、得点は9.0。これからやろうとする人間は、体験版をやってから検討した方がいいですね。