若いって良いですね

 『潮風の消える海に』プレイ完了。ちょこちょことプレイしていたので、意外に時間が掛かってしまいました。ライターの早狩武志さんが以前書いた『僕と、僕らの夏』『群青の空を越えて』のように強烈なインパクトは無いですが、読後感の良い作品でした。今年初購入でいきなり今年のベストを気分です。元々感じていたことですが、この人の書く作品って「若さ」が大きな比重を置いている気がします。
 大人になり様々な責務、しがらみが絡みによって、自分のしたいことに躊躇したり、直情的になったり、大義のような目の見えない理想論的なことに殉じたりと・・・良くも悪くも若いから怖いもの知らずに行動を起こしたりと、大きな力を発揮したりします。それには成功もあれば挫折もあることでしょう。それが蹉跌になり、大人に近づいていく。そうなっていくうちに若い頃にあった「何か」を捨ててしまう。それを気が付かずにいる人間もいれば、意図的に捨てようとする人間もいる。中には大人になりつつ、捨てた「何か」に気付きそれを持つ若者に憧憬の眼差しを向ける人もいることでしょう。おそらく早狩さんの好きな人間は、そのような人間が多い気がします。
 後は、地味で人間味溢れる描写ですね。この作品のように綺麗な部分だけを描いたものだけなく、『僕夏』『群青』のように人の汚い部分、弱い部分も丹念に描いています。これがこの人の特徴ですね。
 どうでも良い事ですが、作中で『僕夏』のBGMが使われていてにやにやしていました。
 2年間も掛けて結ばれた不器用な男女。それを見守る仲間。若さが溢れ一時の清涼を感じました。やっぱ地味ゲーって良いですね。


 さーてと、次作は2年後でしょうか?楽しみに待つとしましょうwさて『Routes』のコンシューマ版でもしますか・・・