[読書]『日本の戦史関ヶ原の役』(旧参謀本部)


日本の戦史関ヶ原の役 (徳間文庫)

日本の戦史関ヶ原の役 (徳間文庫)


 有名な関ヶ原の戦い。有名な逸話ですが、明治初期陸軍の近代化のために、メッケル少佐が来ました。そして陸軍の指導に当たったのですが、その一環として日本の古戦場を陸軍のエリート将校を連れ、視察してこれはこうだったと指導しました。そこで関が原を訪れた時、将校から東西両軍の陣形図を見せられ、日本の将校から「どちらが勝ったと思われますか?」と質問された際、即座に「西軍の勝ちは明白である」と断言します。将校から西軍の寝返りで東軍が聞くと、「それはしかたがない」と呟きます。
 東軍側が西軍諸大名に対して盛んに調略を行い、離反や裏切りを惹き起こした事実を聞くと、改めて戦争で勝利するには調略と情報収集・分析が必要であるか・・・という事を強く指導する様になったといわれています。その後彼が育てた将校たちが、参謀本部の中心になり日清、日露戦争を勝利に導く。
 軍隊が作った日露戦争などの戦史は、当時力を持っていた軍人が、自分を良いように書かせたりしてまったく正確ではなく歴史的史料価値が低いです。ですのでそのようなものは古書では、古本屋で二束三文で売られています。ですが軍人が関係ない関ヶ原は、資料的価値は高いです。関ヶ原の戦いを知りたければ、本書と司馬遼太郎の「関ヶ原」を読むのがベターでしょう。